歯周病はう蝕(虫歯)と並ぶ2大疾患と言われています。歯を支える周りの組織、すなわち歯肉や歯槽骨(歯を支える骨)などにみられるもので歯周疾患ともよばれます。
歯周疾患には歯肉炎と歯周炎に大別され、歯肉炎は歯肉のみに出血や腫れなどの症状がみられます。歯肉炎が進行悪化すると炎症が歯肉だけではなく深部の歯周組織に及び歯周炎となると考えられています。
歯周炎の特徴は進行速度がゆっくりで、数年単位で進行します。初期はほとんど自覚症状がないため、気づいた時には重症化しているケースがよくみられます。それらの理由から歯周病はサイレントディジーズ(silent disease:静かなる病気)と言われています。
最初に歯周病がどの程度進行しているのかを診断します。歯周病の正確な診断を行うためには歯周組織検査、X線写真検査、口腔内写真検査を行います。得られた資料を分析し、歯周病の状態を診断します。
歯周病の状態が軽度の方は歯石除去やブラッシング指導などの基本的な治療を行うことによって健康な状態に回復し、病気の進行は止まります。
しかし中等度から重度に進行した歯周病の治療では外科的処置や、保存困難な歯の抜歯、また歯を失った部分を回復するための治療が必要となり、治療は複雑になり、治療期間が長くなることが多くなります。
歯周病の主な原因はお口の中に常に存在する細菌であることから、再発の危険性が高いといえます。一連の歯周治療をおこない健康な状態、あるいは病状安定の状態になった歯周組織を長期間維持させるためには、歯周病治療の一環としてのメインテナンスが不可欠となります。
歯周溝にプラークが溜まると、自力ではなかなか落とせません。歯に付着し始めたプラークをしっかり落とす日頃の歯磨きこそが歯周病治療の第一歩。 ご自分に合ったブラッシングの方法を学んでいただきます。
歯石は歯面に付着したプラークに唾液中のリンやカルシウムが混じって石灰化したもので、強い病原性を持っています。歯石を取り除き、歯面をツルツルの状態にし、プラークが付着しにくい状態にします。
歯槽骨の破壊が大きく、歯周ポケットが深い箇所はスケーリングだけでは歯石を除去できません。歯肉を外側に開いて歯根を露出させ、細かい部分まで歯石や感染しきった歯茎をを取り除きます。
歯周病によって破壊された骨は通常再生することはありませんが、フラップオペレーションに加えてゴアテックスやコラーゲンなどの膜を貼り付けたりエナメルマトリックスと呼ばれるたんぱく質を塗布することで、歯周組織の再生を促進させることができます。
これは骨も再生できる最新治療で、手術により元の健康な状態と同じ構造で組織を回復させる事ができます。
炎症が歯茎の範囲でおさまっている状態です。多くは思春期の頃に起き始めますが日頃の手入れを真面目にしていないと幼稚園や小学生が歯肉炎になると言うケースもあります。
この段階では歯科医院でのメンテンスや歯磨き指導により比較的早く治癒可能です。
炎症が歯槽骨にまで進んだ状態です。歯周ポケットが3mm程度とやや深くなります。この状態はあまり良い状態とは言えません。歯科医院でのスケーリング、ブラッシング指導を受けてる事により比較的早く進行を止め、治療を行う事が可能です。
炎症により骨が更に溶け、歯周ポケットが4~5mmと進行した状態です。歯槽骨の吸収もかなり進むため歯がぐらついたりします。
歯のぐらつきなどが気になったらすぐに歯科医院にご相談する事をおすすめます。
歯周ポケットが6mm以上の深さに達した状態です。歯のぐらつきだけではなく強い口臭などの特徴も出てきます。この状態にまでなると自力で治す事はできませんのですぐに歯科医院へご相談ください。
スケーリングやブラッシング指導の他に手術が必要となる場合もあります。
歯を支えている歯槽骨がほとんどなくなってしまい、歯はかなりぐらついてしまっていて物を噛む事が出来ない状態です。
この状態を治療することは非常に難しく多くの場合が歯を抜いて新しいものを入れる事になります。